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【インタビュー】2007-04-12

俳優・大杉蓮と下北沢-映画「棚の隅」公開-

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 下北沢には「ミニシアター系映画・単館映画」などと呼ばれる大きな配給会社を使わない映画を専門に扱う映画館が2館存在する。そのうちの1館「シネマアートン下北沢」で大杉蓮さん主役の「棚の隅」が公開された。“遊びに行くなら下北沢”と言う大杉さんに、今回の映画について語っていただいた。


舞台挨拶中の大杉蓮さん

 ライブハウスや劇場が立ち並ぶ下北沢。意外なことにこの街には専門の映画館が2つしかない。そのうちの一つ、シネマアートン下北沢で現在上映されているのが、直木賞作家連城三紀彦の同名小説を映画化した「棚の隅」だ。この作品は、連城小説に魅せられた小池和洋プロデューサーが情熱を武器に、一流のスタッフを口説き落として作り上げた制作費500万円の自主映画。既存の価値観やメジャーなものをうのみにしない下北沢のインディペンデントな雰囲気を体現したようなこの作品と自身について「街に出ると言えば下北沢」という主演の大杉漣さんにお話を伺った。

■下北沢の街にフィットするインディペンデント映画

―大杉さんは下北沢にはよくいらっしゃいますか?

大杉 下北沢は大好きな街で、よく遊びに来ています。友達も多いし、友人と酒を飲んだりするのも、買い物をするのも下北沢。最近はあまり外を歩ける時間がとれないのですが、「街に出よう」と言えば、渋谷でも新宿でもなく下北沢なんですよね。

―そうなんですね。下北沢に来られたらどの辺に顔を出すんですか?

大杉 芝居人ですから「ザ・スズナリ」や「本多劇場」などには良く足を運びます。もちろん「シネマアートン」にも。ですから、昔からの街の変わり方もずっと見ています。これからもっと大きく変わっていくのでしょうかね。

「棚の隅」のワンシーンより

―今回の作品は東京では「シネマアートン下北沢」のみの公開ですよね。これには何か理由があるんでしょうか?

大杉 今回の映画の監督である門井監督の過去作品を見たシネマアートンの岩本支配人だけが「この人が撮った作品ならば上映してもいい」と返事をしてくださった。お金儲けを目指す劇場とは違う、インディペンデント性を感じました。下北沢の雰囲気がこの作品の仕上がりとマッチしたのではないでしょうか。

■予算とかは二の次、とにかく演じてみたいと思った

フラッシュを浴びる舞台挨拶中の出演者。マスコミの注目度も高い。

―低予算の自主映画である「棚の隅」に出演を決めたのはなぜですか?

大杉 「棚の隅」の台本を読んだときに、僕の顔と主人公宮田康雄の顔がオーバーラップして見えたんです。低予算だとか自主映画とかそういうことは二の次で、やろうという気持ちは固まっていました。

―プロデューサーの小池さんに口説かれて出演を決めたようですが。

大杉 小池さんからは熱烈な出演依頼のお手紙(ラブレター)をもらいました。最初は変なヤツだ、と思っていたんです。何度か会ううちにだんだん面白くなってきた。何者なんだという妙なひっかかりが、前向きな興味に変わったんですね。この男の物語の中に加えてほしいと思った。

■とてもパワーが必要だけど、型にはまらずさまよい続けること

―映画の予算や影響力に関係なく出演作を決めていらっしゃる大杉さんはとても自由に生きていらっしゃるように見えます。そんな大杉さんから下北沢の街を歩く若者に人生のアドバイスをいただけますか。

大杉 難しいですね(笑)。55歳になった僕が今思うのは、「さまよう」ことがとても大事なんじゃないかと。僕は今でも自分が何者なのかよく分からないんです。自分をもっと知りたいという興味を持ち続けています。だから若い人には「とことん最後までさまよえ」と言いたい。さまよい続けるのはとてもパワーのいることですが、悪くはないですよ。

―目を閉じたら下北沢の街をさまよう大杉さんが見えるようです。

大杉 仕事も人生も、常に自分がこれからどう変化するかを考えながら、さまよっております。

 「さまよう」ことは、自分の可能性を信じて挑戦し続けることに他ならない。「300の顔を持つ男」と称され、数多くの作品に出演し続けている原動力は、自分へ尽きない興味と、変化を恐れずに可能性を模索し続けること。映画と同じように、大杉さんの生き方にも下北沢の雰囲気に似たものを感じずにはいられない。(文責:松崎美和子、下北沢経済新聞)

<棚の隅>

原作:連城三紀彦 
企画統括:小池和洋 
監督:門井肇 
脚本:浅野有生子
出演:大杉漣 内田量子 今井悠貴 他
ストーリー:小さなおもちゃ屋を営む男の元に、ある日突然前妻が訪れる。愛しながらも別れた前妻と、継子を実の息子のように愛してくれる現在の妻。二人の女性の間で揺れる男の苦悩と葛藤を通して家族の絆を描く

シネマアートン下北沢(4月13日まで)、シネ・ヌーヴォ(大阪市、TEL 06-6582-1416)ほか全国の劇場で順次公開予定。

棚の隅ウェブサイト

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