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下北沢で「東京藝大物語」刊行記念トークイベント 茂木健一郎さんら登壇

左から蓮沼さん、茂木さん、津口さん、植田さん。植田さんの後ろにある絵画が「絵画対決」で勝利した作品

左から蓮沼さん、茂木さん、津口さん、植田さん。植田さんの後ろにある絵画が「絵画対決」で勝利した作品

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 下北沢南口の「本屋B&B」(世田谷区北沢2、TEL 03-6450-8272)で6月5日、茂木健一郎さんの著書「東京藝大物語」(講談社)の刊行を記念したトークイベントが開かれた。

トークイベント中の様子

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 茂木さんは2002年から2007年まで東京藝術大学の講師を務めた。同作は当時の経験を基に執筆した小説。茂木さんが小説を執筆するのは「プロセス・アイ」(徳間書店)に続き2作目となる。

 当日は同書に登場する学生のモデルとなった、元藝大生で現在はアーティストとして活躍する植田工さんと蓮沼昌宏さんも登壇。茂木さんが「小説中では『ジャガー』と呼ばれた植田工」「『ハト沼』と呼ばれた蓮沼昌宏」とそれぞれ紹介すると、客席からは拍手と歓声が湧き起こった。作中でライバルとして描かれていた両者が絵画対決を披露。制限時間60分の制作の後、客による投票が行われ植田さんが勝利した。

 2人が制作を進めている間、茂木さんは講談社の西川浩史さんや柴崎淑郎さん、茂木さんの講師時代の助手であり小説にも登場した津口在五さんなどを交え、刊行に至るまでを振り返った。茂木さんの「自分に小説は向いていないと思っていた。担当の西川さんにダメ出しを受けながら試行錯誤するうちに、捨てるべき題材や、実際には起こっていないものの盛り込むべき題材が見えるようになった。それは自転車に乗れるようになった時の感覚に似ていた」「僕自身がずっと無理だと思っていた小説を52歳にして書くことができた。自転車に乗れた。だから皆さんも、何かを諦めないで頑張ろう」という話には、多くの客がうなずいていた。

 ノンフィクション作家と小説家の違いについて、柴崎さんが「ノンフィクションは頭が良くないと書けないが、小説はばかじゃないと書けない」と話すと会場は笑いに包まれた。茂木さんはため息をつきながらも「琴線に触れる」とかみしめていた。

 トークイベントを終えた茂木さんは、今回の作品について「今や青春というものは絶滅危惧種だが、藝大生がそれを持っているように感じたので、小説にしようと思った。この本を読んで、何か新しいことを始めるきっかけにしてもらえれば」と話した。

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