コミック・カルチャーの複合施設「下北沢GAoh!(ガオ)」(世田谷区代沢5、TEL 03-5787-6747)で現在、企画展「画狂人 上村一夫展」が開催されている。
同展は、漫画家・上村一夫さんの生誕70年を記念した企画展。1973(昭和48)年から翌年まで「漫画アクション」(双葉社)で連載していた漫画「狂人関係」の原画15点・扉絵3点のほか、アイデアスケッチなどを展示する。
上村さんは1967(昭和42)年、「カワイコ小百合ちゃんの堕落」(アサヒ芸能出版、現徳間書店)でデビュー。その後、作詞家の阿久悠さんが原作を担当した「パラダ」(マガジンハウス)のほか、「修羅雪姫」(集英社)、「同棲時代」(双葉社)などの作品を発表。「昭和の絵師」とも称され人気を集めたが、1986(昭和61)年に下咽頭腫瘍(しゅよう)が原因で亡くなった。「狂人関係」は、葛飾北斎とその弟子を中心に江戸時代の人間模様を描いた作品。
「今回の企画展は1年前から計画していた」と同施設オーナーの島田栄次さん。「狂人関係」について、「上村さんは北斎の弟子に自身を重ね合わせ、北斎の浮世絵に対する心情を描き出している。所々に上村さんの北斎への敬意も感じる」と話す。今回の展示では「多くの人に上村さんの世界観を楽しんでもらうため」、原画とともに作中に登場する浮世絵を再現した作品を並べる工夫も施した。
1階の物販スペースでは、上村さんのこれまでの作品も販売。「美人画と春画の中間」(島田さん)を意味する浮世絵の一種「危絵」をイメージした同施設オリジナルのポストカード「あぶなゑ」(2枚入り、500円)、「上村さんの作品の中でもっとも妖艶な女性を描いた」という木版画(3万4,000円~)などを並べる。
島田さんは「作品を見て、改めて上村さんの漫画に対する姿勢を強く感じた。構図など、今の漫画に影響を与えた部分もたくさんみられるので、上村さんを知らないという人にもぜひ楽しんでもらいたい」と話す。
開催時間は11時~19時(最終日は18時まで)。月曜定休。入場無料。11月21日まで。