世田谷区の恒例行事で、東京都の無形民俗文化財に指定されている「世田谷ボロ市」が今年も始まった。区立郷土資料館に隣接する代官屋敷(世田谷区世田谷1)を中心に、東急世田谷線「上町」駅と「世田谷駅」付近一帯がにぎわいをみせている。
「世田谷ボロ市」は毎年12月15日・16日、1月15日・16日に開催され、1日に約25~30万人が訪れる。日用品や衣類、食品類など約700の多様な露天が所狭しと軒を連ね、掘り出しものを物色する客で混み合う。
開催は今年で433年目。ルーツは、1578年に小田原城主北条氏政が、世田谷城の城下町に開いた楽市といわれている。
初日は平日にもかかわらず、午前中から多くの人が訪れた。団体観光客や外国人観光客も目立ち、観光ガイドが案内をしている姿も。露天で甘酒を販売していた30代男性は「今年は天気もよく暖かいため、いつもより人が多い。上着を脱いでいる人もちらほらいる。寒くないと甘酒が売れないのだが…」と苦笑いしていた。
世田谷区在住の50代女性は「毎年、決まって宇和島のカレイの干物を購入している。ボロ市は地方から珍しいものを売りに来る店もあるので、ここでしか手に入らないと思うとついたくさん買ってしまう」と話す。
開催時のみ購入できる「代官餅」は、「あんこ」「きなこ」「からみ」(各600円)の3種類。11時の時点で1時間半待ちと、例年通りの盛況ぶりだ。最後尾に並んでいた50代男性は「正直言って、長時間かけて並ぶほどうまいのかと聞かれたら首をかしげてしまう。毎年『今年はもういいか』と思うが、ここに来ると無性に食べたくなり、つい並んでしまう」と笑う。
会場付近は近くに駐車場が少ないため、電車を利用して訪れる人が多い。毎年、最寄り駅の「上町」駅と「世田谷駅」が通る東急世田谷線は、開催期間中、電車の本数を増やしこれに対応している。