芦花公園駅近くの世田谷文学館(世田谷区南烏山1、TEL 03-5374-9111)で1月24日より、「岡崎京子展 戦場のガールズ・ライフ」が開催される。
下北沢出身で1983(昭和58)年にデビューし、80~90年代を代表する漫画家である岡崎京子さんに関連する資料を展示する同展。原画は300点以上、デビュー前の学生時代のスケッチブック、岡崎さんの漫画が原作の映画「ヘルタースケルター」の衣装などの関連資料、雑誌や書籍などを展示予定。代表作といわれる「リバーズ・エッジ」発表から20年を経て、同作の原画も多数展示。生まれ育った下北沢の街がストーリーに登場する作品も含まれる。
企画者で学芸員の庭山貴裕さんは「スタッフの間でも、以前から採り上げてみたい作家の一人だった。自分にとっても学生時代に『リバーズ・エッジ』に衝撃を受けて以来、最も大切な作家。2年ほど前に企画を打診したところ、地元・世田谷での開催を快諾していただき、うれしさと同時に身の引き締まる思いだった」と話す。
見どころについて、庭山さんは「原画を見ていただくと、スクリーントーンを大胆にずらして貼っていたり、修正の跡が見えたりと、物質としての存在感があり見応えがある」という。当時の雑誌などを集めるのに苦労したという。「出品資料を集めるにあたっては、岡崎さんの友人や研究者などさまざまな方が協力してくれた。豪華なカタログ執筆陣やイベント出演者に恵まれたのは、岡崎さんが多くの人に愛されているからこそ」と振り返る。
1月下旬には展覧会公式カタログも発売予定。約150点の原画、単行本に未収録の漫画8作品、作家のよしもとばななさんやシンガー・ソングライターの小沢健二さんらによるエッセー、評論家の大塚英志さんと椹木野衣さんによる論考などを収録している。発行は平凡社(千代田区)。価格は2,484円。
「以前からのファンの方はもちろん、岡崎京子さんを知らない世代にも見てもらいたい。作品は80~90年代の世相やモードが写し取られているが、現代を予見するような要素もある。『リバーズ・エッジ』に登場する『平坦な戦場で僕らが生き延びること』という言葉は、今こそリアリティーを持って感じられるのでは」と庭山さん。
開館時間は10時~18時。月曜休館。入館料は、一般=800円、65歳以上・高校・大学生=600円、小・中学生=300円。3月31日まで。