若手の映画監督9人による8ミリフィルムの短編オムニバス映画「over8」が1月27日より、シネマアートン下北沢(世田谷区北沢1、TEL 03-5452-1400)で上映される。
この企画は、去年4月に富士フイルムが8ミリ(シングル8)用フィルムの製造を2007年3月31日で打ち切ると発表したことに端を発した。市川準監督の映画「東京夜曲」などで役者としても活躍する川野弘毅さんが監督仲間に呼びかけた結果、新進気鋭の若手監督9人がメガホンをとることになった。各監督が「近未来」をテーマに8ミリフィルムを使って10分の短編を制作。幻想的なものからホラー、コメディーまで、8ミリ特有の画像の荒さを効果的に使った個性豊かな9本が揃った。
同作品の参加者を始め、8ミリフィルムの存続を願う映画監督らや、自主映画監督たちや「フィルム文化を存続させる会」などの働きかけに応じる形で、今月10日、富士フイルムは製造の存続を発表した。
「over8」は作品のタイトルであると同時に、「シモキタ・ヌーヴェルバーグ」をキャッチコピーにした同劇場と監督9人による共同プロジェクト名でもある。仏語で「新しい波」の意味通り、撮る側と上映する側がタッグを組んで下北沢から映画の新しい可能性を発信するのが目標だという。
参加監督の一人、福島拓哉さんは、2005年公開「乱歩地獄」の制作過程を追ったドキュメンタリー映画「クロス・ザ・レンズ」など、数多くの作品を手がける。「自分が映像に興味を持って初めに触ったのが8ミリ。プロになった今でも、8ミリは表現の選択肢として必要。デジタル全盛の今、懐かしの8ミリフィルムを使いながらも、あえて近未来を題材にした『とんがった』作品を創りたかった」と話している。
上映は毎日20時30分から。一般=1,500円、学生=1,400円、シニア=1,000円。初日には監督全員による舞台挨拶も予定さている。2月3日にはオールナイトイベントが開催されるほか、期間中は日替わりでイベントも。上映は2月16日(金)まで。