下北沢南口の「本屋B&B」(世田谷区北沢2、TEL 03-6450-8272)で10月24日、トークイベント「秋の土用の丑(うし)の日に、ウナギの未来を考えよう」が開催された。
登壇者は、世界で初めてウナギの卵の発見に成功した海洋生物学者・塚本勝巳さん、ウナギ漫画「う」の著者のラズウェル細木さん、聞き手はB&Bの嶋浩一郎さん。
嶋さんの「おそらく日本で一番ウナギに詳しいトップ2がここに来ているのでは」という紹介でイベントが始まると、塚本さんがウナギの生態について解説。1992年に太平洋のマリアナ沖で日本ウナギの卵を発見したエピソードや、約2500キロメートルも海を回遊して河口にたどり着く生態などを語ると、会場からは感嘆の声が上がっていた。
塚本さんは、日本ウナギが絶滅危惧種に指定されていることに触れ、「養殖ウナギは卵から育てていると思われがちだが、天然の卵からふ化した稚魚を捕まえて養殖されている。そのため、稚魚の乱獲などでウナギの個体数が激減している。せめて天然ウナギは食べずに産卵場所に返してほしい」と提唱した。
ラズウェルさんも、「養殖ウナギも少なくなり、貴重になってきているからきちんと食べなくては申し訳ない。せっかくウナギを食べるなら、伝統の技を持つウナギ専門店でおいしく味わってもらいたい。これがウナギ食いの品格では」と持論を語った。「養殖ウナギは味が洗練されていておいしい」とも。
今年の秋の土用の丑の日は10月26日にあたる。