下北沢のカトリック世田谷教会(世田谷区北沢1)で1月25日、「世田谷エネルギーシフト みんなの未来の教室」の講演会が行われた。
主催はトランジション世田谷茶沢会、世田谷みんなのエネルギー、せたがや市民エネルギー合同会社。これまで、定期的な講演会やワークショップの開催など、エネルギーシフトを目指して太陽光発電所を立ち上げる活動に取り組んできた。会場となった同教会にも昨年6月、取り組みの一環として太陽光発電のソーラーパネルを設置した。
今回のテーマは「エネルギーは電気だけじゃない。探してみよう!身近なエネルギー」。デンマークでエネルギーの総合的利用や研究を視察した保坂展人世田谷区長と、エネルギーの循環を効率化させたモデルハウスを手掛ける建築家の黒岩哲彦さんが登壇。約60人の参加者が集まり、会場は満員になった。
保坂区長はデンマークのエネルギー政策の変遷を紹介。視察に訪れたデンマークのロラン島は風力発電が盛んで、「島で消費する電力の約5倍の電力を風車で発電している。多くの農家に風車があり、副収入として欠かせない存在になっている」と説明。併せて、風車の余剰電力を使った水素エネルギーでの発電や、藻をエネルギー源にする研究などをスライドショーで紹介した。
世田谷区のエネルギー政策について、「特に原発事故以降、日本でも再生可能エネルギーの潜在的ニーズはある。太陽光発電などで民間の発電所を作るだけでなく、電力の購入先を確保して売電なども先駆けていきたい」とも。
黒岩さんは「放っておくと散らかってしまう力をエクセルギーという。身近な営みを大切にする暮らしを提唱したい」と話し、「水は最も安価な素材で効率よく熱を集めてくれる」「枯れ葉を集めて建物の壁に積み上げたら断熱材の代わりになる」などのアイデアを紹介した。
講演会の後に行われたワークショップでは、教会とその近隣でできるエネルギーの総合利用について参加者が話し合った。会場からは「エクセルギーをみんなで習い、情報共有して各地域のエクセルギー・アドバイザーとなる」「庭に転がる種や実や葉を使って家庭の庭に植えてくれるよう配る。お茶やお灸など多様な利用法がある」などの意見が上げられた。
今後の開催予定はホームページで確認できる。