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下北沢の書店「フィクショネス」が閉店へ-店主は作家・藤谷治さん

「生活無能力者だから、店を開いていなかったら死んでいたかも」と藤谷さん

「生活無能力者だから、店を開いていなかったら死んでいたかも」と藤谷さん

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 下北沢南口の書店「フィクショネス」(世田谷区北沢2、TEL 03-5430-6352)が7月22日で閉店する。

藤谷治さん(店内で撮影)

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 同店は1998年7月4日にオープン。南口から徒歩1分ほどの路地にあるビルの2階に位置する。約15坪の店内で書店を営む傍ら、文学や俳句のワークショップを月数回開き、「発信する書店」として運営してきた。店主の藤谷さんは2003年に「アンダンテ・モッツァレラ・チーズ」(小学館)で作家デビューし、下北沢を舞台とした長編小説「下北沢」、本屋大賞にノミネートされた3部作「船に乗れ!」など、これまでに19冊の小説と2冊のエッセーを出版している。

 開店の理由は「勤めていた会社がイヤになったから」。会社員時代の貯金のほか、保険を解約した資金で店を開いた。店を開いてからこれまでに起こった大きな事件を3つ挙げると、「結婚」「小説家デビュー」「チェロの盗難」という。「結婚のきっかけは妻が店に客として訪れてくれたこと。小説家デビューも、店に来た編集者の方から『こういう店を開くのなら何か書きためたものがあるのでは?』と言われたことがきっかけ」(藤谷さん)。2010年に同店で起こったチェロの盗難事件は新聞でも取り上げられ、その後、チェロは無事に発見された。

 閉店の理由について、「店を開いた当時35歳だった僕も50歳になった。もっと小説の執筆に集中して、いい仕事をしなくてはならない」と藤谷さん。店で出会った人や小説家仲間も多く、「気軽にフラッと寄ってもらえる場所を閉めるということで申し訳ない気持ちもある」という。

 16年間を振り返り、「洋食店『マック』、ジャズ喫茶『マサコ』、ステーキ店『カウボーイ』、焼き鳥店『八峰』、『露崎商店』など気に入っていた店が閉店し、ちょっとずつちょっとずつ僕の街ではなくなっていった。そのことについてはさみしい気持ちはある」。閉店後も、ワークショップを別の場所で開くなど、店で出会った人との交流は続けていきたいという。

 営業時間は13時~20時。水曜定休。

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