下北沢駅北口にある「下北沢北口駅前食品市場」(世田谷区北沢2)の取り壊しが進んでいる。
戦後にできた闇市の名残ともいわれていた下北沢北口駅前食品市場。立ち飲み形式の居酒屋や青果店、乾物店など数十の個人店舗が軒を連ねていたが、老朽化と下北沢駅地下化に伴う再開発により、現在エリアの約3分の2まで取り壊しが進んでいる。
取り壊しが進んでいるのは、インドカレー専門店「MOET’S CURRY(モエツカリー)」(現在は南口へ移転)や画材店「ゑのぐと額縁」(現在は閉店)などがあった下北沢駅前食品市場の北東エリア。焼き鳥店「てっちゃん」や乾物屋「志村商店」など、北口から南口に抜ける通路の店舗は現在も営業を続ける。
通路に面した鮮魚店「ナガヌマ」の長沼洋子さんは「人通りは増えたものの、売り上げは減少している」と話す。下北沢駅の地下化により、電車を利用して来店していた高齢者らの客足が遠のいたためという。エスカレーターなどが整備され以前の下北沢駅よりバリアフリー化されたように見受けられるが、「駅が深すぎて逆に不便だと感じる人もいるのでは」。
同市場で約50年営業を続けた同店。数年以内には他店と同様に取り壊すことが決まっており、現在下北沢で移転先を探しているという。長沼さんは「ずっと下北沢で営業していたので、やはり次も下北沢がいい」と話す。