漫画家の丸尾末広さんと音楽家で文筆家の吉田アミさんによるトークショーが4月22日、下北沢南口の「ヴィレッジ・ヴァンガード下北沢店」(世田谷区北沢2、TEL 03-3460-6145)で行われた。「劇画家畜人ヤプー」(ポット出版)の復刻版刊行を記念したもの。
同作は1970(昭和45)年に出版された沼正三さんの小説「家畜人ヤプー」(都市出版社)を、漫画家の石ノ森章太郎さんがコミック化したもの。1971(昭和46)年に都市出版社(千代田区)が刊行し、1983(昭和58)年に辰巳出版(新宿区)が復刊。今回は2回目の復刊となる。当日は、巻末に解説文を書いた丸尾さんと、「丸尾さんのファン」という吉田さんが聞き手として登壇した。
作中では白人女性が全国民の頂点に立ち、黄色人種がその家畜として養殖、飼育される2000年後の未来社会を描く。「戦後最大の奇書」として、当時から話題になっていた。復刊の経緯について、ポット出版(渋谷区)の高橋大輔さんは「昨年刊行した沼さんの小説『懺悔禄-われは如何にしてマゾヒストになり乎』に衝撃を受けたことがきっかけ」と話す。
会場には幅広い年齢層の男女約50人が集まった。トークでは、丸尾さんが初めて小説版「家畜人ヤプー」を読んだときの印象や、正体不明とされている沼さんについて話した。コミック化した石ノ森さんについては、「人気漫画家として多忙な中、とても大変だったと思う。ただ、作中は文章が多かった。もう少し絵にしてほしかったという気持ちもある」と語る場面も。
価格は2,310円。