下北沢の南口にカフェ・バー風の内装を持ち、実際にコーヒーやお酒を飲むことができる古書店「気流舎(きりゅうしゃ)」(世田谷区代沢5)がオープンした。
店内の内装はオーナーの加藤さんが手がけた。自分で組み立てられるように設計士に依頼、材料の選定から約1年かけて4坪ほどの店内を手作りで完成させた。床から本棚、テーブルに至るまで木材が使われており、備え付けのベンチなど、曲線の多いデザインが温かみのある空間を作り出している。2階部分はロフトで、靴を脱いでくつろげる空間。ぐるりと壁一面に据え付けられた本棚には、社会学や民俗学、沖縄や環境問題など1,000冊を超す蔵書が並ぶ。
古書と一緒に壁棚に並べられているのは酒瓶。「古本カフェ・バー」の名前の通り、本を片手にコーヒー(500円)やチャイ(小300円)を楽しむこともできる。特に19世紀の芸術家たちに愛飲されたというフランス産スピリッツ「アブサン」は11種類をそろえた。
蔵書は「カウンターカルチャー」がキーワードになっているのが特徴。加藤さんは以前デザイナーとして広告の製作などに携わっていたが、商業主義を追い求める仕事のあり方に疑問を持ち同店を始めた。「気流舎」の店名は、社会学者真木悠介著「気流の鳴る音」(筑摩書房)から。「本を読まない若い人たちに、60年代のヒッピーをはじめとする対抗文化が、エコロジーや環境運動、NPOやNGOなどの現在のカウンターカルチャーに脈々と受け継がれていることを知ってほしい。カルチャーの発信地になれれば」と話している。
営業時間は14時~23時。水曜定休。