下北沢で3月24日から、新しい形式のアートオークション「下北沢アート自由市」が開催される。金銭ではなく、アーティスト本人への何らかのオファーをすることで入札する形式となる。
イベントを主催する「Team Yami-Ichi」の大澤左知子さんは、今回のイベントを「アートマーケットの既成概念からあえて離れて、新たな作品の価値づけプロセスを試してみる、という実験的な試み」と話す。「アーティストと直接やりとりをしながら、自分だったらこれをオファーするという能動的な価値付けや、交換の場を楽しんでほしい」とも。
作品を出品するのは、柚木恵介さん、滝沢達史さん、小川敦生さん、カキナガマリコさんの若手アーティスト4人。「下北沢を訪れる人と作品とが出会い、それが何かのトリガーとなり得る機会になれば」と小川さん。カキナガさんも「アートと下北沢を一緒に楽しめたらうれしい」と、出品者と参加者の交流を期待する。
滝沢さんは、下北沢の買い物袋を使った作品を発表するとともに、参加者にそれをかぶってもらい撮影をする。「コミュニケーションだか断絶だか流通だかファッションだかよくわからない関係が下北沢には合う気がする」(滝沢さん)。
柚木さんが2009年から実施しているのは「物々交換プロジェクト」。国内外各地で一品ずつ、あらゆるものと交換してきたといい、「何と交換できるかはその時にならないと分からない。そんな非日常を味わってほしい」と話す。
オークションは会期中に参加者から出たさまざまなオファーに対し、最終日にアーティストが気に入ったものを選んで作品と交換するというシステム。過去に同様のイベントを開催した際には、「私の所有する山での、展覧会の機会」「あなたの秘密をいくらでも聞いて、必ず守ります」などの独創的なオファーも出たといい、アーティストのみならず参加者自身の創造性も重視されるイベントとなる。
しもきたスクエア、しもきたアネッス、東洋百貨店、カフェアンソロップの4カ所で作品を展示し、26日はしもきたスクエアでどのオファーを受けるのかを決定する。26日まで。5月にはロンドンでも同様のオークションを開催し、以後、さまざまな国や地域で行っていく予定。