3月中旬ごろ、小田急線下北沢駅と世田谷代田駅を結ぶ線路沿いにある1本の桜の木(世田谷代沢5)に伐採計画が持ち上がった。近隣住民からは反対の声が上がり、桜には「切らないでください」などの書き込みのあるプレートも掲げられた。
樹齢は不明だが、住民によると「100年以上あるのでは」という声も。毎年春になると花見に訪れる人がいるほか、小学生たちの登校時の待ち合わせ場所としても長く親しまれてきた。しかし今年3月中旬ごろ、小田急電鉄から「道路側に伸びた枝が通行の邪魔になるなど、苦情が寄せられている」として伐採予定が伝えられた。
この報告に対して、住民らは「長く親しんできた木だから」として反対。同社から報告を受けた住民の一人、瀧澤久二さんは「小田急電鉄の所有地なので強く反対はできないが、せめて桜の花が咲くまで待ってほしいとお願いした」という。木には、小学生が作ったと思われる段ボールのプレートも掲げられ、日を追うごとに「近所の立派なシンボルです」「この桜の木は、みんなのお守りのようなもの」など書き込みが増えていった。
その後、葉桜になっても伐採の動きがなかったため、住民の間で「いつ切られてしまうのか」「本当に伐採するのか」などの声が上がっていた。近くにある「カフェ・サクランボ」(代沢5)のオーナー、小野塚櫻子さんは「いつ切られてしまうのか気が気でない。せめて伐採時期だけでもはっきりさせてほしい」とも。
桜の木の伐採はどうなっているのか。4月中旬に下北沢経済新聞編集部が問い合わせたところ、同社広報部は「状況を確認中」と回答。その後「時期は未定だが、伐採する方向」と連絡があった。しかし、21日に再度連絡があり「問い合わせを受け、桜の木を慕う声が多いことを知った。住民の方々の声を尊重し、(道路にせり出している)枝葉だけを伐採することにした」と計画変更が伝えられた。
この変更について、小野塚さんは「とてもうれしい。また来年もみんなで花見ができる」と喜びの声を寄せている。