下北沢のカレー店「茄子おやじ」が20周年-「あっという間だった」

20年間共に歩み続けてきたやさいカレー(890円)と向き合う阿部さん。お皿の絵は、同店オープン以後も兄のように慕っている「まめ蔵」のオーナーで絵本作家の「南椌椌」(みなみくうくう)さんが描いたもの。

20年間共に歩み続けてきたやさいカレー(890円)と向き合う阿部さん。お皿の絵は、同店オープン以後も兄のように慕っている「まめ蔵」のオーナーで絵本作家の「南椌椌」(みなみくうくう)さんが描いたもの。

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 下北沢南口のカレー店「北沢カレー食堂 茄子おやじ」(世田谷区代沢5、TEL 03-3411-7035)が4月で20周年を迎えた。

店舗外観

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 1990年4月にオープンした同店。店舗面積は10坪、席数は15席。メニューは20年間ほぼ変わっていない。一番人気があるという「やさいカレー」(890円)はナスやブロッコリー、トマトばどが入っており、「スパイスが効いているものの飽きのこない味が魅力」とオーナーの安部孝明さん。このほかのメニューは「ちきんカレー」(840円)、「びーふカレー」(890円)、常連である作家・よしもとばななさんも「お気に入り」だという「きのこカレー」(940円、平日限定)など。 

 安部さんは、大学卒業後1年で会社を退職してフリーターに。現在も吉祥寺にあるカレー店「まめ蔵」でアルバイトをしていた33歳の時、自分の居場所について考え一念発起して同店を開いた。店名は、「まめ蔵」で働いていた当時のあだ名から。「最初の3カ月間はお客さんがほとんど入らなくて、本当にやっていけるのか随分悩んだ。店の場所も路地裏だし分かりづらいのかなあと。それでもやらなきゃしょうがないと思った」と当時を振り返る。人気雑誌の取材を受け、一時的に客が増えたこともあったが、店が安定し始めたのは5年目を過ぎたころから。「お客さんの口コミが広がり始めたころです」(安部さん)。

 阿部さんに子どもが生まれた2006年以降は、次第に家族連れの利用客が増えた。「自分に子どもができて、ジュースをサービスするなど子連れのお客さんを意識するようになった。少し客層が変わったのはこのころ」。

 20周年を迎えたことについて、阿部さんは「あっという間だった」と話す。「カレーのメニューと味をずっと守り続けてきた。とは言え、味に関しては基準が僕なので、僕の好みが辛口になればやや辛口になっているかも(笑)。カレーと歩み続けた20年間だった」。

 最近の下北沢については、「ここ10年で、体力や年齢の問題から個人経営店がパタパタと閉まったことが寂しい。年々チェーン店が増えつつあるが、個人経営店に活気があることが下北沢の良さでもある」とも。

 2、3年ぶりに静岡から同店を訪れたという女性客は「『茄子おやじスペシャル』(1,100円)を食べていたら、よく通っていた当時を思い出した。久しぶりに来た下北沢は随分変わっていたが、このカレーの味は変わらず何だかうれしい」とほほ笑む。

 営業時間は、12時~22時。不定休。

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