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【シモキタ歴24年のカレー激ハマリ芸人ピストジャムが愛してやまない下北沢カレー10選】File.9~LEVECHINA(レベチナ)

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吉本興業のピン芸人、ピストジャムです。僕は、20歳のころにシモキタに越して来ました。カレー好きの僕にとっては、この街は天国です。

この特集では、僕が全責任を持って推薦する、美味しいカレーが食べられる店を紹介していきたいと思います。

File.9~LEVECHINA(レベチナ)

いつかこんな店ができてほしいと願っていた。スパイスカレーとスープカレーをセットで食べられるカレー屋。

両方置いてある店はちらほらあるけれど、セットで食べられる店は見たことがない。おそらく世界でここだけではないだろうか。これからフォロワーがたくさん出てくるかもしれないが、始祖は『LEVECHINA』だったと僕たちは語り継いでいかなければならない。

『LEVECHINA』のカレーメニューは、スープカレーと2種のスパイスカレ―がセットになったひとつだけ。その名は「ご褒美プレート」。


2種のスパイスカレーとスープカレーがセットになった「ご褒美プレート」(税込1,500円)。
茶碗サイズの器で提供されるスープカレーは、小樽産のホタテでだしをとった品のある味わい。スープは12時間煮込んだのち48時間寝かすという。

具は、そのときどきで変わる北海道の旬の野菜がふんだんに入っている。この日はアスパラガス、なす、じゃがいも、にんじん、パプリカ、そして店主がみずから雪山を登り採ってきた行者にんにく。

さらりとしているのに奥深い味わいのスープが、素揚げした野菜にからんで素材の味を引き立たせている。

スパイスカレーは20種のスパイスを使用した「ラム肉と鶏肉のキーマ」と「サグ(ほうれん草)チキン」。うまみが凝縮されたキーマは食欲をそそる。ラム肉と鶏肉の食感の違いも楽しい。

サグチキンは、ほうれん草のあまみとこくをダイレクトに感じられる。やさしくまろやかで、舌触りもなめらか。これほど濃厚なサグチキンはなかなかお目にかかれない。

副菜もいろどり豊かで、種類も豊富だ。手間を惜しまない店主のこだわりが垣間見える。スパイスで和えたシャキシャキのにんじんや、ぷりっとした枝豆はカレーとともに食べると、味と食感に変化が生まれ飽きさせない。

後半にスープカレーをライスにかけてスパイスカレーと混ぜて食べると、うまみが爆発する。銀座の『ナイルレストラン』のムルギーランチや、ネパールのダルバートと同様に「混ぜて食べる」ことでおいしさが増すという経験をまだしたことのないかたは、ぜひ一度こちらで体験してほしい。やみつきになること間違いない。

ただ、残念なことに営業は土日の12時から18時までしかやっていない。しかも、カレーは限定30食。

ハードルが高いと感じる方もいるかもしれないが、それは仕方がない。なぜなら店主の菊池さんは、北海道在住なのだから。

菊池さんは北海道で農業にたずさわり、野菜をつくっている。そして、その北の大地ではぐくんだ新鮮な野菜を毎週末シモキタに運び、カレーにして提供しているのだ。

北海道からの食材は野菜だけではない。スパイスカレーのラム肉はもちろん、エゾ鹿ステーキは知り合いのマタギから直接仕入れているという。


エゾ鹿ステーキ(税込600円)。添えられたピンクペッパーがかわいらしい。
エゾ鹿ステーキはあっさりしていて、やわらかい。鮮度の高さがよくわかる。クセや臭みは皆無だ。低カロリー、低脂肪で、天然の滋養強壮剤といわれるジビエをカレーと一緒にいただけるのもこの店ならではだ。

フレンチやイタリアンのシェフは、最終的に自分で畑を耕すと聞いたことがある。納得する食材を手に入れるには、自分でつくるしかないということだろう。

菊池さんがやっていることは、まさにそれだ。究極の料理人の姿といえる。

シモキタに『マジックスパイス』というスープカレー屋ができたのが20年前。札幌の老舗スープカレー屋が、2号店を出す地に選んだのがシモキタだった。

当時のシモキタは、まったくカレーの街なんかではなかった。スープカレーなんて、もってのほか。マジックスパイスでしか食べられないものだった。 

しかし、それから10年後、初めてマジックスパイスに対抗する店が現れた。それが、『ポニピリカ』だった。

化学調味料をいっさい使わない鶏がらスープをベースに、15種類のスパイスを調合したスープカレー。マジックスパイスのスープカレーしか食べたことのなかった僕は、衝撃を受けた。

そのときの『ポニピリカ』の店長が、なんと菊池さんだった。15年にわたりラーメン屋で店長を務め、そこで培ったスープづくりのノウハウを活かし、『ポニピリカ』のレシピを作成したという。

スープカレーとスパイスカレーという北海道仕込みの二刀流で再びシモキタに戻って来た菊池さん。近々、海老のスープカレーを出す計画もあると言う。

『LEVECHINA』の進化はとどまることを知らない。その名のとおり、レベチなカレーがここに来れば待っている。

【店舗データ】

LEVECHINA
東京都世田谷区北沢2-34-11 リアンビル 4F
土日12:00~18:00
※最新情報はInstagram(@levechina_curry)をご確認ください。

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