下北沢北口の東洋百貨店前(世田谷区北沢2、TEL 03-3468-7000)で4月上旬から、点画による路上ライブペインティングが行われている。
ライブペインティングを行っているのは「.@プロジェクト」。メンバーは点画を描く山下祐人さん、その様子を撮影する岡野萌子さん、プロデュースを務める若松詩織さん。活動は週末で、昼間は北口の複合商店街「東洋百貨店」(北沢2)前、夜は南口のストリートブランド店「SAKAEYA」(同)前で行う。
3人は学生のころ、バイト仲間として出会った。その後、山下さんは美大の大学院、岡野さんはアニメーション制作会社、若松さんはイベントのオーガナイザーと進路が別れたが、定期的に集まっていた。「何か新しいことをしたいと考えていたころ、山下が自宅で黙々と描いている点画のことを知った」(若松さん)と振り返る。
点画はほんの少しの絵の具を水で最大限に薄めた液体で描く。点画を始めた理由について、山下さんは「大学院で学んでいる彫刻と絵画を合わせて何かできないか考え、点画を描く道具を彫刻で作ってみようと思い立った」と話す。制作した点画道具は3種類で、グリップ部分に「スネークウッド」という滑らかな木材を使用。それぞれ先端の大きさが異なり、点の大きさによっては使い分けることができる。1種類については、人差し指と中指でフックを押すことで点を描く特殊な作りになっている。
山下さんの点画を1人でも多くの人に広めたいと考えた若松さんは、その作業を野外で行うことを提案。点画は完成までに数十時間かかることもあり、ライブペインティングには向かないかもしれないとも考えたが、「この作業を撮影し映像を早送りした動画をYouTubeなどで配信したら面白いと思った」(岡野さん)という。
山下さんは「東洋百貨店やSAKAEYAの両オーナーが快く場所を貸してくれたり、道行く人が声をかけてくれたりと温かさを日々感じる」と下北沢の印象を話す。「水分の中に、下北沢のにおいや空気を染みこませて街を表現したい」とも。買い物に訪れていた26歳の女性はライブペインティングを見て、「2時間前に見たときは途方もない作業だなあと思ったが、再度見に来たら絵が進んでいて感動してしまった。帰りがけにまたどれくらい進んだか見に来たい」と話していた。
今後、3カ月以上は下北沢で活動し、その後は他の街でも行う予定。「山下は今回のライブペインティングでコミュニケーション力を強化中。ぜひ気軽に話しかけてください」と若松さん。
活動日は毎週土曜か日曜。昼の部は14時~18時、夜の部は21時~24時。公式サイトで随時スケジュールを更新する。現在制作中の点画が完成後、動画の配信を予定する。