東北地方太平洋沖地震発生後、下北沢の個人店では独自の取り組みを行う店もある。3月14日夜の下北沢の街を取材した。
下北沢南口のカフェバー「FREE FACTORY(フリーファクトリー)」(世田谷区北沢2)では、節電のため通常翌3時の閉店時間を24時に繰り上げ。一方で、近隣で一人暮らしをする人へ向けて、「夜、心細いときはぜひ店に来てほしい」とツイッターなどで呼びかける。「常連のお客さんには一人暮らしの女性が多く、余震などで『一人でいるのが怖い』とやって来る姿も。なるべくつらい思いをしなくて済むよう、当店を利用してもらえれば」(店長の徳永さん)。
北口の店舗では早めの閉店が目立ったが、中には店の照明を最小限に落として営業を続ける店も。アクセサリー店「JESUS DYNAMITE JAPAN(ジイザスダイナマイトジャパン)」(北沢2)店長の渡邊ジミー和則さんは「ちょっとでも不安な人の話を聞いてあげられるように、なるべく店を開けている。さっきも常連客と1時間ほど話していた」と話す。店頭前のディスプレーに、被災地への自作メッセージを貼り「一人ひとりができることを地道にやるのが今一番大事なことだと思った」とも。メッセージの中には地震当時、仙台市若林区でライブを行っていた女性ミュージシャンからの声もあり、「やれることがんばります!みんなの無事を祈って、節電!」などと書かれていた。
下北沢を行き交う若者も今回の災害への思いを口にする。南口駅前で友人を待っていた女子大生は「家でエントリーシートを書いていたが、心細くなってきたので、みんなで(南口の)マクドナルドに集まって書くことになった」と話す。「土日は、何でこんな時にまで就活なんかしているんだろうと思った。テレビを見ながら、自分にできることが余り思い浮かばず落ち込んだ。でも、いろいろ考えて、これからの日本を支えるのは自分たちなんだと痛切に感じた。そのために今できるのは就活を頑張ること」。地震から4日、街の人々はそれぞれの思いを新たにしている。