小田急小田原線下北沢駅ホームが、3月22日の最終電車を最後に地下へ切り替わる。
下北沢駅は1927(昭和2)年に開通。その後、立体交差工事などを行い、現在の形となった。地上駅である小田急電鉄下北沢駅の上を高架駅である京王電鉄下北沢駅がまたぐ形で立体交差している。小田急線ホーム地下切り替えの理由は、下北沢が抱える「開かずの踏み切り問題」を解消するため。現在、下北沢駅の踏切は、国土交通省の発表した「緊急対策踏切リスト」に名を連ねており、ピーク時の開放時間は60分のうち10分のみ。今回の工事を機に、交通渋滞や踏切待ちによる事故を低減し、住民らの生活の便宜を図るのが狙い。
地下化を目前に、下北沢駅にはカメラを手に別れを惜しむ人の姿が多く見られる。下北沢で書店「フィクショネス」(世田谷区北沢2)を営む作家の藤谷治さんは、ツイッターで「踏切事故もなくなり、列車の運行もスムースなるでしょう。何よりバリアフリーがいくらかは進歩するはずで、これまで内心、車椅子の人に気易く『下北沢に来てください』といえなかった、心の支え(つかえ)の一つが解消されると思います。(略)しかしそれはいわば『社会的賛成』で、個人的には今の駅舎がなくなる(=亡くなる)ことには辛い気持ちが強いです」(原文ママ)とつぶやく。「開かずの踏み切り」の様子を写真に撮っていた第四企画(北沢2)の黒田正信社長は、「駅よりも踏み切りがなくなるんだ、という気持ちが強い。下北沢の北と南を分けていたものがなくなることが感慨深い」と話す。
下北沢を象徴する駅舎。日付が切り替わる23日1時2分発経堂行きの最終電車をもって、地上を電車が走ることはなくなる。