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【シモキタ歴24年のカレー激ハマリ芸人ピストジャムが愛してやまない下北沢カレー10選】File.7~TOKYO SPICE CURRY 赤と黒

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吉本興業のピン芸人、ピストジャムです。僕は、20歳のころにシモキタに越して来ました。カレー好きの僕にとっては、この街は天国です。

この特集では、僕が全責任を持って推薦する、美味しいカレーが食べられる店を紹介していきたいと思います。

File.7~TOKYO SPICE CURRY 赤と黒


薬膳カレーとカシミールカレーのあいがけ(税込1500円)。ワンプレートで食べやすい
2年前、駅のすぐ近くにある『Bar Wasted Time』に飲みに行った。ここは2017年5月まで、40年以上続いたブルースバー『STOMP』があった場所。

『STOMP』には何度か飲みに行った。近藤房之助さんがオーナーで、店の壁には自転車が飾られていた。

『Bar Wasted Time』の内装は、『STOMP』とほぼ変わっていなかった。自転車はなかったけれど、レンガづくりの壁やテーブルなどはそのまま。

飲んでいると、マスターから、昼はカレー屋が間借り営業しているという話を聞いた。調べると、知っている店だった。

『赤と黒』。荻窪のカレー屋で、カレー好きの間では知られた店。

上野に『デリー』という有名な老舗のカレー屋がある。赤と黒は、その流れをくんでいる。

『デリー』で修行した方が千葉県の柏に『ボンベイ』というカレー屋をつくり、『デリー』でも『ボンベイ』でも働いていた方が『横浜ボンベイ』をつくり、そののち『横浜ボンベイ高田馬場店』ができ、その系列店が『赤と黒』だ。70年近い歴史を持つ『デリー』からすると、ひ孫のような存在だと言えるだろう。

シモキタでカシミールカレーが食べられると思うとテンションがあがった。カシミールカレーとは、脳天に突き抜けるような辛さが特徴の『デリー』と『ボンベイ』の人気メニューだ。

さらさらのルーなのにコクもあり、辛さの中にうまみも凝縮されている。食べれば食べるほどハマってしまう奥の深いカレーだ。

翌日の正午。楽しみすぎて、さっそく『赤と黒』にお邪魔した。

明るい時間に、このビルに入ったことがなかったので不思議な心地がする。というか、10時間前まで飲んでいた店に再び来ていることがおかしかった。

10時間前に座っていたカウンターの同じ席に座る。まだ昨晩のぬくもりが残っているような気がする。

店主は気さくな方で、Jリーグのクラブチーム「北海道コンサドーレ札幌」のユニフォームを着ていた。なお、コンサドーレのチームカラーは赤と黒。店主のこだわりを感じる。

定番メニューは、3種類。薬膳カレーとカシミールカレーとインドカレー。


インドカレー(税込1,000円)。すべての礎となるカレー。ホールスパイスのクミンが香る
店名の由来は、ルーの色だった。薬膳カレーが赤、カシミールカレーが黒。

メニューには、『デリー』や『ボンベイ』にはない「あいがけ」があった。皿の真ん中にライスがダムのように盛られていて、右と左に赤と黒のルーがそそがれている。

このワンプレートでの提供スタイルも『デリー』や『ボンベイ』にはない。ライスの上には、タンドリーチキンとパクチーと半熟のゆでたまごが半切れ乗っている。

カシミールカレーを食べるつもりで来たけれど、薬膳カレーも気になる。説明に書かれた「二日酔いにも効果覿面」という言葉に引かれる。まるで昨晩ここで遅くまで飲んでいたことを見すかされているようだ。

赤黒のルーレットに賭けるように、どちらかの色にびしっと決めたかったが決められない。両方食べたいので、素直にあいがけを注文する。

カシミールカレーは、思っていたほど辛くなかった。じわじわと汗ばんでくるけれど、辛すぎて食べられないということは全然ない。

店主に尋ねると、やはり『デリー』や『ボンベイ』よりも辛さはわざと抑えているらしい。系列店の『横浜ボンベイ高田馬場店』と比べても、シモキタは辛くないようだ。

「『デリー』や『ボンベイ』の突き刺すような辛さのカシミールカレーのファンは多いけれど、結構辛いので気合や覚悟がいるというか方もいらっしゃる。なので気軽にというか、敷居を低くして、カシミールとしての辛さは残しつつも、少し抑えたテイストで朝からでもおめしあがりやすくしております」

店主の言葉に納得する。カシミールカレー独特のうまみとコクはそのままなので、どんどん食べ進められる。複雑にからみ合うスパイスの香りもフルーティーだ。

薬膳カレーはカシミールカレーよりも、さらに辛みは控えめだった。玉ねぎの甘みとホールスパイスがしっかり効いていて、体にいいものを食べているという実感がわいてくる。話によると、20種類にわたるスパイスが入っているという。

タンドリーチキンやゆでたまごは言うまでもなく、パクチーもルーと合う。まさに医食同源。薬膳カレーという名に偽りなしだ。

食後、僕は吉本の芸人であることを話し、自作のステッカーを店主に渡した。またすぐにうかがおうと思っていたのだが、コロナウイルスの影響でなかなか再訪できず、先日久しぶりに食べに行くことができた。


店主(左)と著者。店主が着る北海道コンサドーレ札幌のユニフォームは数種類ある
店主は僕のことを覚えてくれていて、あたたかく迎えてくれた。前に渡したステッカーも、レジに貼っているよと見せてくれてうれしくなる。

店主は相変わらずコンサドーレのユニフォームを着ていたので、

「札幌出身なんですか?」

と、尋ねた。

すると、東京出身だと言う。『赤と黒』という店名なので、カレー好きのコンサドーレサポーターのかたが来店された際にコンサドーレのことを教えてくれたらしい。

それから店主はコンサドーレにハマり、いま『赤と黒』は公式リレーションシップ・パートナーになっていると話す。

「よく札幌に応援に行きますし、コンサドーレのお客さんも店に来てくれるんですよ」

笑顔で語る店主。奥深い味わいの赤と黒のカレーは、歴史を受け継ぎ、人とのつながりを大切にする心がつくっている。

【店舗データ】

TOKYO SPICE CURRY 赤と黒
東京都世田谷区北沢2-11-4 佐藤ビル B1F
03-6751-0656
11:00~14:30ラストオーダー
不定休
※最新情報はInstagram(@akatokuro_shimokita)をご確認ください。

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