下北沢北口のコンテンツ制作会社ナターシャ(世田谷区北沢2、TEL 03-6806-6700)が運営するニュースサイト「ナタリー」の編集部が、映画「モテキ」の舞台として作中に登場する。
同作は、雑誌「イブニング」(講談社)で2008年から昨年にかけて連載された、久保ミツロウさんによる同名漫画が原作。昨年年夏から秋にかけてドラマ版が公開されており、映画版ではその1年後のストーリーを久保ミツロウさん自ら原作を書き下ろした。同編集部は、森山未來さん演じる主人公「藤本幸世」の職場として登場する。
もともと、同社の大山卓也社長と久保さんは友人同士。「僕が個人でやっているネットラジオでゲストにきてもらって以来、仲良くさせてもらっている。ある日突然、久保さんから『ナタリーを映画の舞台にしていいか』とお話を頂いた。『モテキ』が映画になることは知っていたのだが、『なんでうちが?』とびっくりした」(大山さん)。「なぜナタリー編集部が登場することになったについて具体的な話は特に聞いていないが、監督の大根仁さんが『時代の空気感を大事にしたい』と考えたのではないか。弊社は若い会社なので、時代を反映させた会社として選んでいただいたのではと思っている。ありがたい限り」とも。
撮影は、都内某所にナタリー編集部を再現したセットで行われた。「セットを見学したが、実際のナタリー編集部よりもおしゃれですてきな空間だった。一方で、リアリティーの追求のためか、実際に編集部に置いてある木彫りの熊の置物や、大量の漫画雑誌、脚立なども運び込まれ、セットに反映されていた」(大山さん)。撮影中は制作スタッフや監督、森山さんをはじめ社員を演じる俳優陣が度々同社を訪れ、社内のスタッフ一人ひとりに仕事の進め方などをヒアリングしたという。
作中では、ナタリー社長として登場する「墨田卓也」役をリリー・フランキーさんが演じる。原作では「墨さん」と呼ばれ、本名の分からない謎の男として描かれているキャラクターだが、映画版では大山卓也さんの名前をとって『墨田卓也』に設定を変えている。「リリーさんに演じてもらえるのは本当に光栄。一方で、墨さんはなかなか過激なキャラ。どんな風に演じていただくのだろうとどきどきしている」と大山さんは笑う。このほかにも、真木よう子さん演じる主人公の先輩役「唐木素子」は、「コミックナタリー」「おやつナタリー」編集長を務める唐木元さんがモデル。「唐木自身は男性だが、作中では女性として描かれているようだ」と大山さんは話す。「弊社だけではなく、下北沢近辺でも撮影が進められていたようなので、下北沢が好きな人にとってはうれしくなるシーンの多い作品に仕上がっているのでは」とも。
9月23日から公開予定。