「日本鉄道詩紀行」(集英社新書)、「広島にチンチン電車の鐘が鳴る」(汐文社)などの著書を持つ児童文学作家のきむらけんさんが下北沢周辺の都市文化や近代文学について調査した結果などを書きつづったブログ「東京荏原都市物語資料館」のエントリー数が、このほど1,000件を突破した。
きむらさんは元東京大学教育学部附属中等教育学校の国語教師。定年で退職するまで30年間自転車で通勤を続けてきたが、その途中で通りかかる下北沢近辺の地理と歴史に興味を持ち、独自に調査を開始。2004年の8月から、その調査結果をブログで公開してきた。更新は2日に1回~毎日のペースで続けられ、その更新ペースと充実した内容にファンも多い。当初はタイトルに「下北沢」が付いていたが、「調べるうちに、その歴史が単に下北沢だけにとどまらずもっと広がりを持って存在し各地と結びついていることがわかった」(きむらさん)ことから、目黒区・世田谷区・大田区・品川区周辺の地域の名称だった「荏原郡」から今のタイトルにした。
きむらさんの活動は徐々に広がり、2007年には「北沢川文化遺産保存の会」として、下北沢近辺にある文士の旧居跡などを記録した「下北沢文土町文化地図」を発行。萩原朔太郎、大岡昇平、宇野千代ら数十人の名が記載された地図に「下北沢の近くにこれほど文士が集まっていたとは」と反響が大きく、現在までに12,000部が発行され、今年中に4版が出る予定だという。また、毎月、下北沢周辺の歴史を探索する「歩く会」も行っている。
きむらさんは「下北沢にはまだ知られていない、いろいろな価値が眠っている。現在はまだ全貌がつかめていないが、それを探っていくのがとてもスリリングで面白い。文士の旧居跡のほか、教会や会社の寮が多いのも下北沢近辺の特徴だが、これらのことをこれからさらに関連付けて探っていくつもり」と話す。
「東京荏原都市物語資料館」の事務局は喫茶店「邪宗門」(世田谷区代田1、TEL 03-3410-7858)に置く。次回の「歩く会」は5月17日13時~。下北沢駅北口に集合し、萩原朔太郎の小説「猫町」の痕跡を求めて歩くという。参加費・申し込みは不要。
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(松本経済新聞)