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インタビュー2015-03-12

映画「下北沢で生きる」公開
「下北沢はさっさと帰らせないような磁場がある街」
大木雄高さんと廣木隆一さんが語る下北沢の魅力

再開発と道路計画が進む下北沢の街並みと、そこに住む人々の暮らしを収めたドキュメンタリー映画「下北沢で生きる」が下北沢のミニシアター・トリウッドで公開された(3月13日で公開終了)。2月25日の上映後には、映画監督の廣木隆一さんと下北沢商業者協議会代表で下北沢のジャズバー「レディ・ジェーン」のオーナーを務める大木雄高さんのトークイベントを開催。映画を通して下北沢で出会い、20年以上の付き合いとなる2人が下北沢について話した。

■下北沢は撮影しても通行人が無視してくれる?

廣木隆一さん(写真右:以下、廣木 敬称略) 「下北沢で生きる」は2003年から2014年までずっと撮り続けてきた作品ですけど、道路計画や再開発計画の問題を取り上げたイベントである「SHIMOKITA VOICE」は、2007年から始まったんでしたっけ。

大木雄高さん(写真左:以下、大木 敬称略) そうです。2007年のときは、映画監督として廣木さんにも出演してもらったんですよね。

廣木 会場がまだタウンホールじゃなくて、スズナリでしたよね。あれから8年もたっているのに、映画見ていて、何も進んでないなと感じました。でもどんどん街は変わってきていて。

大木 人によっては、街よりも気持ちの方が変わったと感じている人もいるかもしれませんね。

廣木 僕は2013年に下北沢で「I LOVE YOU」というネット配信ドラマを撮影したんですが、交番の前で多部未華子さんが酔っ払って倒れるっていうシーンがあって、そのときはまだ下北沢駅の南口の上り階段があったんです。で、記念だからそこでも撮ろうってなって、撮影していたらそこで俳優の田口トモロヲさんにばったり会ったりして(笑)

大木 下北沢は、ロケしてようが何してようが、誰かしらと会いますよね。小さい街だから。

廣木 あと、防災の話にもつながるかもしれないですけど、ロケがしづらい街ですよね。車が入らないから。僕らとしては歩いてトボトボ行けるからそれがイイんですけど、大変だと思いました。あと、通行人が言うことを聞かない(笑)。人止めとかできないくらい、自由な印象があります。撮影していても無視してくれるから、楽といえば楽だったんですけど。

■北口はバスロータリーができるらしいが……

廣木 「下北沢を生きる」を見ていると、僕が撮影に使った場所も何カ所か出ていて。ロケ地が結構似ますよね、下北沢だと。

大木 下北沢は空き地があまりないですから。北口の駅前食品市場とかは、まだごく一部しか取り壊しをしてないですけど、あそこが無くなると、かなり広いエリアができますよね。で、そこをバスロータリーにしようとしているとか。

廣木 バスロータリーは、いらないなあ(笑)

大木 そうそう。道も細いんだから6人乗りとかの小さいやつで、ピストン運行させればいいじゃないかと言ったことはあって、それでも取り合ってもらえず、結局バスが走ることになるみたいですよ。

廣木 何だかかずっとそんな話をしていて、あんまり進展していなさそうですよね。2015331日には工事期限が来るんですよね?

大木 それはもう、保坂区長が延長申請をしたらしいです。向こう7年延長って。

廣木 2020年のオリンピックを通り越して、という設定なんですね。

大木 小田急線の地下化の第2期工事があと5年かかるから、そこもタイミングを合わせてきているのかもしれないですね。

■下北は「たまたま流れ着く人」が許される街だった

廣木 最近、下北沢に来る人は減っているんですか?

大木 感覚的には、減ってきているように感じますね。

廣木 新しい店とかはどんどんできてきているイメージがありましたけど。

大木 不動産は増えているかもしれないですね。でも、歴史ある古い店が、つぶれていったりしているんです。

廣木 「下北沢を生きる」を見ていて一番下北沢らしいなと思ったのは、飲み屋のおじさんの話で。居場所がなくて流れ着いたのが下北で、そこから20年近くいたっていうのが、なんかいいですよね。東京って居場所見つけるって大変じゃないですか。その中でたどり着いて、とどまることができるというのが、昔からの下北の良さだったのかなって思います。

大木 ミュージシャンや俳優、絵描き、写真家になろうと意識高く下北沢に来る人もたくさんいるんだけど、でも他に居場所がなくて、たまたま流れ着いたっていう人たちにも、許された街だったんですよね。

廣木 芝居とかが好きで、劇場が近くにいっぱいあるからって理由で引っ越してきても、全然行かなくなるんですけどね(笑)。でも、よそから来た人がライブや観劇の後に街を歩きたくなったり、さっさと帰らせないような磁場がある街だと思います。そういったところも、下北沢のいいところかな、と。

廣木 下北沢で撮影をして思ったんですが、変わっていく街のなかで映画を撮ると、記録としても残るからいいですよね。新宿の歌舞伎町とかも、コマ劇場の周りはどんどん変わっていて、それを撮ったときと同じ感覚を下北沢でも感じました。あと、これはまた別件なんですが、大木さんの店である「レディ・ジェーン」でもまた撮りたいと思っていて、まだ企画段階なんですけど…。

大木 でも、向こう10年くらい忙しいでしょう?

廣木 いえ、もう今年は本当に空いているので(笑)

大木 じゃあこの後、飲みながら、その話をしましょうか(笑)

姿を変えていく下北沢の街並みとそこに住む人々の営みは、ずっと続いている。廣木さんと大木さんは談笑しながら、夜の南口商店街に消えていった

(文責:勝瀬昌彦/下北沢経済新聞)

廣木 隆一(ひろき・りゅういち)

1954年生まれ。1982年「性虐!女を暴く」で映画監督デビュー。「800 TWO LAP RUNNERS」(1994年) で文化庁優秀映画賞を受賞。その後、2003年「ヴァイブレータ」で第25回ヨコハマ映画祭の監督賞などを受賞。そのほかの監督作品に「ゲレンデがとけるほど恋したい。」(1996年)、「東京ゴミ女」(2000年)、「余命1ヶ月の花嫁」(2009年)、「軽蔑」(2011年)、「甥の一生」(2015年)など。20153月から人気少女漫画を原作とした「ストロボ・エッジ」が公開。

大木雄高(おおき・ゆたか)
1945
年生まれ。1975年下北沢にジャズバー「LADY JANE」をオープン。その後、1979年から「下北沢音楽祭」を企画・プロデュース1979年に地元の友人と「下北沢音楽祭」を企画・プロデュース。下北沢商業者協議会代表のほか、下北沢の道路・再開発問題をアピールするイベント「SHIMOKITA VOICE」の実行委員長も務めている。

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