「SHIMOKITA VOICE」今年も-トークセッションに松尾貴史さんら

「漫読」を行う東方力丸さん。東方さんや他のパネリストは公式サイトにコメントを寄せている

「漫読」を行う東方力丸さん。東方さんや他のパネリストは公式サイトにコメントを寄せている

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 下北沢の再開発問題を考えるシンポジウム「SHIMOKITA VOICE 2010」が8月25日・26日、下北沢アレイホール(世田谷区北沢2、TEL 03-3468-1086)などで行われた。同シンポジウムは今年で4回目。

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 25日に行われたトークイベント「マラソン・セッション」は全部で4つのセッションに分かれ、それぞれのテーマに沿ってトークが行われた。セッション1は「下北沢に脈打つ文化の源流を探る」。児童文学作家で「北沢川文化遺産保存の会」を主宰するきむらけんさんが、「鉄道の街」として栄えてきた下北沢の歴史と文化的背景を語った。セッション2では、イラストレーターの平松昭子さん、落語家の立川談四楼さんらが「下北沢からシモキタへ」と題して、過去から現在へかけての下北沢の姿を思い思いに語った。

 途中、パフォーマンスとして、下北沢南口の路上で「漫読」を行う東方力丸さんが登場。通常とは違う舞台とあって「正直どうなるかとても不安です」と漏らした東方さんだったが、下北沢を根城に活動するミュージシャンの姿を描いた「下北沢フォービート・ソルジャー」(たなか亜希夫)の一編を「熱読」。アドリブを交えながらの語りに、場内からは笑い声が漏れた。

 続いて行われたセッション3「シモキタがなくなる?」、セッション4「シモキタの未来に向けて」には、俳優の松尾貴史さん、評論家の佐高信さん、法政大学社会学部教授で江戸文化研究者の田中優子さん、明治大学准教授の服部圭郎さんが登壇。司会進行を務める石本伸晃弁護士、音楽プロデューサーでジャズバー「レディ・ジェーン」(代沢5)のオーナー、大木雄高さんとともに、それぞれの立場からの意見を述べた。

 石本弁護士から、幅員26メートルの道路や直径約40メートルのサークルが駅前に建設されるという再開発計画の一部が説明されると、服部さんは都市計画・デザインを研究する視点から、「おかしな道路計画は日本全国で行われているが、下北沢の場合で特に気になるのは、床面積あたりの売上が良く、商業的な成功を収めている地域であるということ。健康なのに手術をするという雰囲気だ」とコメント。ヨーロッパの歩行者専用道路の例を挙げ、「下北沢は自然発生的に歩行者専用道路が生まれた素晴らしい街」と述べた。

 田中さんは「江戸時代の長屋を連想させる路地がなくなるのは、独特の人間関係がなくなること。本当に残念だと思う」とコメント。佐高さんは国立マンション訴訟の例を挙げたほか、一部の政治家に向けて苦言を呈する場面も。

 トーク終盤、カレー店「パンニャ」(北沢3)のオーナーでもある松尾さんが「再開発に反対する人の中にも、漠然と嫌だなと思っている人、ラジカルに理論を示す人など、いろいろな人がいる。賛成派の人もさまざまで、純粋に『便利になる』と感じて賛成している人もいれば、自分に利益があると思って賛成している人もいる。でも、本当に道路ができれば人が来るのか、自分の店の買い物客が増えるのか。吟味して、客観視して考えてもらいたい」と発言。「それぞれの人が好きな下北沢が好きな形であるために、どうするべきなのか。バーで隣り合わせた人と話すべき。街全体で包み込むように対話を行うことが必要では」と締めくくった。

 再開発運動を巡る行政訴訟は現在も続行中。9月17日には、第18回口頭弁論が東京地方裁判所の103号大法廷で行われる。

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