下北沢の映画館「トリウッド」(世田谷区代沢5)で現在、特集上映「新海誠監督特集2020」が公開されている。
2002(平成14)年に新海誠監督の商業デビュー作「ほしのこえ」が初日上映された同館。スタッフの山本達也さんは「公開初日は、近くの『餃子の王将』さんの方まで行列が伸び、最終日は予定よりも上映回数を増やして終電間際まで続けたと聞いている。お客さんの『すごいものを見た』というエネルギーが熱狂を生んだのだなと感じている」と話す。「新海監督が時折インタビューなどで『トリウッドでの「ほしのこえ」初日の、満席の客席から起こった拍手が今も原動力の一つ』とおっしゃっていて、それはすごくうれしい」とも。
同館は、これまで新海監督の新作が公開される前後に特集上映を行ってきた。「今年はコロナ禍でいつもと違う夏を過ごしている方も多いかと思うが、いわば恒例となった特集上映を変わらずに行うことで、楽しい夏の記憶が一つでも多く皆さんの中に残ればと企画した」という。
上映作品は、「彼女と彼女の猫」(2000年)、「ほしのこえ」(2002年)、「雲のむこう、約束の場所」(2004年)、「秒速5センチメートル」(2007年)、「星を追う子ども」(2011年)、「言の葉の庭」(2013年)、「君の名は。」(2016年)、「天気の子」(2019年)。
公開から現在までを振り返り、「『ほしのこえ』と『彼女と彼女の猫』は、映画館としてはトリウッドでしか上映しない作品なので、公開当時を知らないような若い人を中心にお越しいただいている。掲示してある当時のポスターの写真を撮られる方も多いので、ファンの方には喜んでいただけているのかなと思う。新海監督がトリウッドでデビューしたということをご存じなく、その関係を知って驚かれる方もいる」と山本さん。
山本さんは「昨年末に開館から満20年を迎えたが、下北沢にお住まいの方でも『こんな所に映画館があったんだ』と言われることがまだまだある。若手作家の才能が開花する場所として、また、その才能が帰ってくる場所として、これからも上映を続けていく」と意気込む。
料金は作品によって異なる。8月31日まで。