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世田谷文学館で林芙美子の展覧会 「放浪記」の作者を知らない20代女性の来場も

「放浪記」改造社 1930年

「放浪記」改造社 1930年

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 世田谷文学館(世田谷区南烏山1、TEL 03-5374-9111)で現在、「林芙美子 貧乏コンチクショウ-あなたのための人生処方箋-」が開催されている。

「林芙美子 貧乏コンチクショウ-あなたのための人生処方箋-」展覧会フライヤー

 作家・林芙美子の原稿、書簡、絵画、ワンピースといった衣類など、約250点の資料を展示する同展。貧困生活を送るなど苦労の多かった人生経験と、作家の前向きな人生観が反映された「放浪記」をはじめとする作品を多数残している。そんな林の人生を「家族」「ひとり旅」「貧乏」など12のコーナーで紹介し、時代を超えて共感を得られる林の言葉が持つ力を探る。

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 展示を担当した同館の学芸員は、展覧会の反響について「オープン以来、20代の女性のお客さまに多く来館いただいている。明治から昭和を生きた作家・林芙美子について、『放浪記』は知っているけれど、作者は知らないという世代が増えている。学校の教科書には掲載されておらず、書店にも著作がない。本屋で『林』の『は』の棚を探すと、真理子はあるけれど芙美子がない。若い世代にとってみれば『古典作家』という認識のようだ」と話す。

 代表作「放浪記」は、林が数多くの詩編と日々の思いをつづった日記体の文章とを組み合わせて出来上がったもので、「初期作品の文章は、短いセンテンスで構成され、現代のツイッターとの近さを感じた」とも。「人は困難な状況にあるとき、その気持ちを発信することで救われることがある。貧困であれば生活することで精いっぱいとなり、創作活動に向かう余裕がなくなるものだが、そうした創作方法が『心の避難所』となり、創作を可能にしたのだろうと、今回の展示の企画を通じて感じた」

 「芙美子の50年弱の生涯のうちにつづった詩の『ことば』を、現代に生きる私たちのための『人生処方箋』ととらえ、大きな文字で紹介している。心に触れる一編の詩が見つかり、人生の処方箋となってくれれば」と来場を呼び掛ける。

 開館時間は10時~18時(展覧会入場、ミュージアムショップの営業は17時30分まで)。月曜休館。入館料は一般=800円、65歳以上・高校・大学生600円、小・中学生300円。7月1日まで。

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