画家・絵本作家のヒグチユウコさんの個展「ヒグチユウコ展 CIRCUS」が現在、世田谷文学館(世田谷区南烏山1、TEL 03-5374-9111)で開催されている。
ヒグチさんは、「せかいいちのねこ」「ギュスターヴくん」(以上、白泉社)、「すきになったら」(ブロンズ新社)、「BABEL Higuchi Yuko Artworks」(グラフィック社)など多数の著書を出版。同展では「サーカス」をテーマに、約700点に及ぶ自筆作品をはじめ、人形作家・今井昌代さんや木彫作家・小島秋彦さん、劇団「マームとジプシー」といったクリエーターや企業とのコラボレーション作品、書籍、ポスターなどを公開する。同名の画集も合わせて上梓する。ヒグチさんの約20年の画業を総括して展示し、全国を巡回する個展は初。
会場は絵本作品の原画や、「こわい絵」、最近のさまざまな仕事など大きく8つのセクションで構成する。展示室中央の「サーカス」ゾーンでは、サーカステントをイメージした立体的な空間を演出し、サーカスにちなんだ同展描き下ろしの原画や立体を展示。動画が見られるのぞき穴などの仕掛けも用意する。会場内の壁には、ヒグチさんが来館して描いた手描きのイラストも随所にあり、ファンを楽しませている。
同館主任学芸員の庭山貴裕さんは「『猫風神雷神図』(2015)や『GUSTAVE若冲雄鶏図』(2016)など、日本のモチーフを描いた作品を集めた和室の展示も見どころの一つ。ヒグチさんには全体の展示構成だけでなく、大人から子どもまで来場者が楽しめるさまざまなアイデアをいただいた」と話す。
来場者は30~40代の女性が多く、子ども連れで楽しむ女性の姿もしばしば見られている。ミュージアムショップの展覧会公式グッズは、展示を見る人のほとんどが購入するほどの人気で、「ヒグチさんの絵は鑑賞するだけでなく、連れて帰ってあげたくなるような魅力がある」とも。
庭山さんは「本展のタイトル『サーカス』は、ヒグチさんの描く不思議な生き物やキャラクターが織り成す『楽しいけれど、どこかはかなさを感じる場所』をイメージして付けられた。圧倒的な質量で描き込まれた、ヒグチさんによるサーカスをお楽しみいただきたい」と来場を呼び掛ける。
開催時間は10時~18時。月曜休館。入場料は、般=800円、65歳以上、高校・大学生=600円、中学生以下無料。3月31日まで。