下北沢を舞台にした映画「街の上で」が5月1日から、全国の映画館で順次公開される。
「街の上で」は、下北沢に住む人、働く人、活動する人たちが織りなす恋愛群像劇。毎年開催されている下北沢映画祭が2018(平成30)年に第10回を迎えることを機に企画され、2019年の第11回下北沢映画祭でプレミア上映された。
監督は昨年公開された「愛がなんだ」が大ヒットし、現在は新作の「mellow」と「his」が公開中の今泉力哉さん。「下北沢には(出身の)福島にいた頃から街としての憧れがあった。自分が短編自主映画を撮っていた時代には映画館の下北沢トリウッド(世田谷区代沢5)で上映してもらったり、演劇を見に来たりと、文化的な街のイメージがあった」と話す。「下北沢についてあれこれ調べるのではなく、自分の知っている下北沢を、自分の実感や肌感覚を信じて作った」とも。
主演は今泉監督の「愛がなんだ」にも出演している若葉竜也さん。同作の役名「仲原青(せい)」を連想させる「荒川青(あお)」を演じる。今泉監督も「当初の脚本では別の名前だったが、若葉が演じることに決まり、『愛がなんだ』から持ってきて『青』にした。読みが違うし同一人物ではないけど、うまくいかない人としてあの空気を保ってもらった」と話す。青に関わる4人の女性に穂志もえかさん、古川琴音さん、萩原みのりさん、中田青渚さん。「愛がなんだ」で主演を務めた成田凌さんも友情出演している。共同脚本に映像作品への参加も多い漫画家の大橋裕之さん。ラッキーオールドサンが主題歌を担当し、入江陽さんが音楽を手掛ける。
劇中にはトリウッドのほか、「古書ビビビ」(世田谷区北沢1)やラーメン屋「珉亭」、バー「水蓮」、居酒屋「にしんば」(以上、世田谷区北沢2)など、実在の店舗が多数登場する。今泉監督自身は現在神奈川在住だが、「『街の上で』のプロデューサーの髭野純さんが下北沢近くに住んでいて、都内の仕事で帰れない時に彼の家に泊まっては下北沢をうろついている」と言い、ロケ地も「珉亭」を除いて今泉監督の行きつけの店が選ばれているという。「映画に出てくるお店や風景の位置関係も、フィクションだからと都合よく変更はせず、なるべく現実に忠実にしている。映画を見終えてから、実際の街を、映画を思い出しながら歩く面白さもあると思う」
5月1日から新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国の劇場で順次公開予定。4月30日には公開前夜祭として、下北沢BASEMENT BAR(代沢5)で入江陽さん、ラッキーオールドサン、マヒトゥ・ザ・ピーポー出演のライブも開催される。
※新型コロナウィルス感染拡大に伴う各行政機関の発表や方針および来場者の安全と健康を鑑み、公開延期が決定された。新たな公開時期は決まり次第、公式サイト、SNS等にて知らせる。